目次
- はじめに:やめるだけで健康が手に入る?
- 第1章:治療と予防の常識を見直す
- 第2章:やめるだけ健康法 生活習慣編
- 第3章:やめるだけ健康法 運動と姿勢の習慣
- 第4章:やめるだけ健康法 食生活の見直し
- まとめ:健康に導く「やめるだけ」習慣のすすめ
はじめに:やめるだけで健康が手に入る?
毎日の生活で、「健康によい」と信じて行っている習慣が、実は体に負担をかけているかもしれません。例えば、血圧を無理に下げたり、食事でコレステロールを制限しすぎたりすることがかえって健康リスクを高める場合があるのです。
今回ご紹介する「免疫力が上がる!やめるだけ健康法」では、医学者の安保徹さんが「何をやめれば健康になれるか」に焦点を当て、体本来の力を活かして免疫力を高める方法を提案しています。安保さんは、必要以上の薬や過剰な健康習慣が体の防衛機能を弱める可能性に着目し、シンプルで無理のない健康法を伝えています。
本記事では、この「やめるだけ健康法」のポイントを、「治療と予防の常識」「生活習慣」「運動と姿勢」「食生活」の4つのテーマに分けてお伝えします。体に無理をさせず、自然な形で免疫力を高める方法を一緒に学びましょう。
第1章:治療と予防の常識を見直す
健康診断などで「血圧が高い」と言われると、多くの人が「血圧を下げなくては」と思うでしょう。しかし、著者の安保徹さんは、無理に血圧を下げることはむしろ健康リスクを高めると警鐘を鳴らしています。
血圧が上がる理由の一つは、体が活動を支えるための反応だからです。たとえば、座っている状態から立ち上がるとき、血圧が上がって血流が増えるおかげでふらつくことなく立てるのです。血圧は、交感神経が活動しているときに上昇し、血液を体中に巡らせる役割を担っています。高齢になると血管が硬くなるため血圧が上がるのは自然なことです。したがって、無理に血圧を下げるために薬を使い続けると、血流障害や低体温が引き起こされ、脳梗塞や心臓病などのリスクが増してしまうといいます。もちろん、高血圧治療を中断する際は医師と相談しながら少しずつ減らしていくことが重要です。
また、コレステロールについても誤解が多いです。一般的に、コレステロールは「動脈硬化や心筋梗塞の原因になる」と思われがちですが、体にとってコレステロールは重要な成分です。細胞膜やホルモンの材料になるほか、体のエネルギー生産にも関わっています。体内のコレステロールの80%は肝臓や小腸で生成され、食事からの摂取は20%にすぎません。そのため、コレステロールを気にして卵や肉を制限しすぎると、かえって筋力低下や栄養不足を招き、健康に悪影響が出る可能性があるのです。
いや~、血圧は下げた方がええんちゃう?だって毎年、医者に血圧が高いって言われるし。
パパ、あんまり気にせん方がええらしいよ?無理に下げると血流悪くなるし、逆に脳梗塞とかのリスクが上がるって聞いたで?
そうだね。年齢に合わせて血圧が少し高くなるのは自然なことだから、体の反応に無理に逆らう必要はないんだよ。気になるならストレスを減らしたり、ゆっくり休む習慣をつけるといいんじゃないかな。
ほんなら…オレ、ストレス減らすために毎晩のアイスをもっと楽しむわ!
また変なとこで手を抜かんといて!健康的にリラックスしてよ、ほんまに。
第2章:やめるだけ健康法 生活習慣編
私たちが「良い」と信じて日々取り入れている生活習慣の中には、実は体に負担をかけてしまっているものもあります。この章では、安保徹さんが提案する「やめたほうがいい生活習慣」をいくつか紹介します。
湿布や冷却をやめるべき理由
痛みや炎症があるときに、多くの人が湿布や氷で患部を冷やして対処します。しかし、著者はこれが逆効果になる可能性を指摘しています。体内では、怪我や炎症が起こるとプロスタグランジンという物質が分泌され、患部の血流を増やして治癒を促します。湿布や冷却は、このプロスタグランジンの働きを抑えてしまい、一時的に痛みが和らいでも血流が悪化して治りにくくなるのです。また、湿布の成分が直接皮膚から吸収されることで、胃腸に負担がかかったり冷えの原因になることもあります。
血液は「サラサラだけ」では不十分
健康を意識して「血液サラサラ」を目指す人も多いですが、安保さんは「血液は常にサラサラである必要はない」と指摘しています。血液がドロドロになることは、体が瞬発力を必要とする状況やエネルギーを集中させる際に必要な反応です。常にサラサラな状態を保とうとすると、逆に血流が悪くなり、かえって健康を害してしまう可能性もあるのです。
紫外線対策のしすぎに注意
紫外線対策も、健康のためにと意識する方が増えていますが、紫外線は健康を維持するために欠かせないものです。特に、紫外線を浴びることで生成されるビタミンDは、骨の健康や免疫機能の向上、心臓や脳の保護にも役立ちます。安保さんは、1日10分程度の日光浴が体に良い影響を与えると述べています。
痛いとこには、すぐ湿布で冷やすのが一番やろ!それで楽になるし、ええ感じや!
ほんまにそう思ってる?湿布貼ると一時的には楽になるけど、かえって治りにくくなるんやで?
そうそう、湿布や冷却で血流を止めると、痛みの原因が残ったままになるんだよ。できるだけ自然な治癒力に任せる方が早く治るってことも多いんだ。
じゃあ、オレの毎日貼ってる湿布も控えた方がええってこと?
そやね、まずは試しに少しずつ減らしてみたら?意外と体も楽になるかもしれんで。
第3章:やめるだけ健康法 運動と姿勢の習慣
毎日の運動や姿勢も、実は「やめるべき習慣」を見直すことで、健康を大きく改善できるポイントが隠されています。ここでは、特に見直したい「ウォーキングだけの運動習慣」と「猫背や悪い姿勢」についてお話しします。
ウォーキングだけでは不十分、上半身の運動を
運動不足の解消には「ウォーキングが一番」と考える方も多いですが、実は歩くだけでは不十分なことがあります。ウォーキングでは主に下半身だけが動くため、全身の筋肉が鍛えられるわけではありません。安保さんは、特に上半身の筋肉も鍛えることが大切だと述べています。上半身の筋力が低下すると、脳や心臓への血流が不足し、認知症や脳の血流障害にもつながる可能性があるためです。
上半身の筋力を鍛えるためには、自宅での軽い運動でも十分に効果があります。著者が推奨する「八の字体操」は、腕を上げて空中に横向きの八の字を描きながら腰をひねる体操で、特におすすめです。簡単にできるので、ぜひ毎日の習慣に取り入れてみましょう。
猫背や悪い姿勢が免疫に与える影響
「姿勢が悪いと健康に良くない」というのはなんとなく知っていても、意識して改善するのは難しいですよね。しかし、悪い姿勢が続くと呼吸や血流に悪影響を及ぼし、免疫力を低下させる原因にもなるのです。特に猫背は、肺を圧迫して呼吸が浅くなり、体内の酸素が不足してしまいます。さらに、内臓が圧迫されることで、男性は前立腺が、女性は子宮が影響を受け、ガンのリスクも高まるといわれています。
姿勢を改善するためには、まず「自分が猫背になっていることに気づく」ことが大切です。日常生活の中で背中が丸まっていると感じたら、軽く背筋を伸ばし、少しずつ正しい姿勢を保つよう意識しましょう。これだけでも、呼吸が深くなり、全身の血流が良くなることで免疫力向上が期待できます。
ウォーキングだけで運動十分やと思ってたけど、八の字体操ってなんやねん?ほんまに効果あるんか?
これが意外と効くんだよ。両手を頭の上に伸ばして、空中に横向きの八の字を描くように動かすんだ。そうすると肩も腰も自然に動いて、全身の血流が良くなるんだよね。
パパもやってみたら?簡単やし、肩こりも楽になるって言うし!
ほんなら、やってみるか。えーっと、こうして両手を上げて…んで、腰もひねりつつ…こうか?あれ、なんか気持ちええわ。
そうそう、その調子!それを毎日20〜30回やるだけで、姿勢も良くなってくるよ。猫背も治りやすくなるし、リラックス効果も高いんだ。
パパ、ほんまやん!背筋も伸びて、ちょっと若返った感じするで。毎日続けるんやで?
よっしゃ、これなら楽やし、毎日続けてみるわ!ほんまに肩軽くなった気するしな!
第4章:やめるだけ健康法 食生活の見直し
健康のために「良い食べ物だけを摂る」ことを心がけている人は多いかもしれませんが、著者の安保徹さんは「良いものだけ」にこだわることがかえって健康を損なうリスクがあると指摘しています。この章では、食生活で見直すべきポイントを紹介します。
「体に良いものだけ」ではなく、適度なバランスが大切
食生活に気を配り、野菜中心のバランスの良い食事を意識することは確かに大切です。しかし、あまりに徹底して体に良いものばかりを摂取すると、腸の消化機能が弱くなってしまうことがあります。例えば、常に消化の良いものを食べていると、体が本来持つべき解毒や代謝の力が鍛えられず、いざという時に消化しにくいものを食べると体調を崩してしまう恐れがあるのです。
安保さんは、体のためには時々「不摂生」を取り入れることも大切だと述べています。普段の食生活が健康的であるならば、月に1〜2回程度の「チートデー」を設けて、普段は控えている揚げ物やジャンクフードを楽しむことも、かえって体に良い刺激となり、腸や代謝機能のバランスを整えることにつながるのです。
子どもの好き嫌いは無理に直さなくても良い理由
子どもに「嫌いな野菜を無理に食べさせるべきか」と悩む親御さんも多いでしょう。しかし、子どもが苦手とするピーマンやゴーヤなどの苦い野菜は、ポリフェノールという成分を含んでいて、これは体が大人のエネルギー代謝に慣れてくることで消化しやすくなる成分です。子どもには、この成分を処理するミトコンドリアがまだ十分に整っていないため、苦い味に対して自然と拒否反応が出るのです。これは単なる好き嫌いではなく、体の自然な反応といえます。
無理に苦手な野菜を食べさせようとすると、消化に負担がかかって体調を崩すこともあるため、無理強いは避けましょう。成長と共にミトコンドリアの働きが活性化することで、自然と苦みのある野菜も食べられるようになるので安心してください。
健康のためにええもんばっかり食べてたら、めっちゃ元気になるんちゃうん?
パパ、そうでもないらしいよ。たまにジャンクフードも食べることで、かえって体のバランスが整うこともあるんやって。
そうそう。腸や代謝がしっかり働くには、少しだけ負担がかかる食べ物も時々必要なんだ。極端に良いものだけに偏ると、逆に消化機能が衰えることもあるからね。
ほな、たまにはオレのポテチも堂々と食べても大丈夫ってことやな!
まあ、ほどほどにしときや!でも、たまにの楽しみも大事やもんね。
まとめ:健康に導く「やめるだけ」習慣のすすめ
ここまで、安保徹さんの「やめるだけ健康法」から、日常生活で見直すべき習慣についてご紹介してきました。無理に健康を追い求めすぎず、「やめるだけ」で自然に免疫力を高める方法は、思っていた以上にシンプルです。
- 治療と予防では、血圧やコレステロールを無理に下げないことで、体本来の反応を活かし、血流や代謝を健やかに保つことができるとわかりました。無理に下げようとせず、日々のストレスを減らすことが大切です。
- 生活習慣では、湿布や冷却、極端な血液サラサラ習慣を控え、体が必要とする自然な治癒反応を妨げないことがポイントです。また、適度に紫外線を浴び、ビタミンDを生成することで免疫力を維持することも重要です。
- 運動と姿勢の改善においては、上半身も含めたバランスの良い筋力アップを心がけることや、日頃から姿勢に気を配ることが、呼吸や血流を正常に保つための鍵になります。
- 食生活では、「体に良いものだけ」ではなく、時には少し負担のある食事も取り入れて、腸や代謝を鍛えることが大切です。また、子どもの好き嫌いには自然な理由があるため、無理に直そうとせず成長に任せるのも一つの方法です。
日々の生活であれもこれもと無理に健康を追求するのではなく、少し力を抜いて「やめるだけ」の方法を取り入れてみてください。体が本来持つ力を活かし、無理なく健康で元気な日常を送ることができるはずです。